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東京の方に用事があるときは、だいたいいつも常磐線から千代田線に入って10駅以上地下で揺られていきます。電車内では本を読んでいるかスマホを眺めているのですが、松戸と金町の間では江戸川の景色を見るために顔をあげます。昨日は向かいのシートに座っていた平成風の前髪の男性も同じように外を見ていました。こちら側からは、ひらけた河原の向こうに埼玉県三郷の街並みが見えており、西日が水面と家々をそれぞれ照らしたところを窓枠が切り取っていました。向かいのシートからは葛飾の街並みが見えていたと思います。

 

柏市はベッドダウン、つまり資本主義社会が中産階級の生活の場として役割を与えた土地です。労働と生活を明確に分離させ、後者を保証するために社会が整備して“あげた”場所がベッドタウンであり、それは裏を返すと大きな資本の動きの中に生活も全て収納されているということです。柏駅にはかつて2つ(現在は1つ)の百貨店があり、現在は緩やかにその社会的役割を継ぐ形でショッピングモールが台頭してきています。かつては“ウラカシ”と呼ばれた古着屋群は活気をなくし、本屋だった場所はパチンコ店になりました。

 

市の中心部から少し離れると、突然畑に出くわします。住居と畑と商業施設、そして都心へと直通する鉄道と国道が、緊張感をもってそれぞれ隣り合っているのがこの街のリアリティであり、資本やカネに包摂された街へ向かって行くコンプレックスを象徴しています。