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到底認めたくないことなのだけど、おれはカフェイン耐性があまりなく、今もそれによる興奮状態にある。今日は頭痛を抑えるための鎮痛剤→歯医者で歯茎への麻酔→エスプレッソによる高濃度カフェイン接種によって自律神経を乱し、ただでさえ慢性的な睡眠障害気味で制御できていない交感神経を猛烈に働かせており、今なら山盛りのチャーハンを2リットルくらいは食べられそうという状態だ(そしてそれを難なく嘔吐することもできるだろう)。

 

おれは気質として自分で勝手に興奮するということがないように思う。スラッシュメタルバンドでベースを弾いていた時も、スリーフィンガーでBPM200の16分を弾きながら頭をバングしつつシャウトして、客席のおっさんの額から落ちる汗の雫を横目で捉えていた。速い音楽ほど冷静でなくてはやれない。スポーツを見ても熱くならないし、熱くなれないからスポーツにはハマれないのだと思う。だから勝手に何かにブチギレたりとか、嗚咽するほど何かに感涙したりする人を見ると、羨ましさと憧れと、そして懐かしさと親しみに似た恐怖を感じる。

 

(ここから先、数日のラグ

 

とにかく、カフェイン以外の方法でもっと自分を興奮させてあげたいのだろう。興奮は毒ではあるが、毒は薬だ。

 

 

大病からほぼ回復した母を病院に迎えに行った。おれはタトゥーのことを家族には話さないつもりでいたのだけど、寝不足でぼーっとしてうっかり腕を捲って見せてしまった。この年齢になって怒られる訳では流石にないけど、タイミング的に母に動揺を与えたくなかったし、タトゥーについての自分の考えをしっかり伝えるとかいった気力はそもそもない。母はおれに気を遣ってマイナスなことは言わないようにしていたけど、時折り不自然に別の話題からハンドルを切って「飽きたらどうするの?」とか、ごく一般的な反タトゥー的意見を柔らかくぶつけてきたりした。おれはそれに対しては適当に受け流して、「今そこにある顔に飽きたらどうするの?」とは聞かなかった。先天的なものは特権を持ち、後天的なものに付帯するのは責任だけだ。

 

おれはそもそもの考え方の多くが家族と全然違っていて、異教徒のように根本の部分でわかりあうことはないと思っている。生みの親であり育ての親であり、虐待などもなくむしろ沢山教育に金をかけてもらったのにそういうことがあるのか、と他人に理解してもらうことは難しいとは思うけど、そういうこともある。

 

多くの親がそうであるように、おれの親も息子の体にインクなんか入ってほしくなかったはずだ。特に母からは、「親にもらった大事な体に傷をつけるなんて」というクリシェを産まれる前から聞かされていたように思う。

 

今日は濃いコーヒーも麻酔も入れてないが睡眠導入剤を飲んだところだ。メンタルの失調を自らのアイデンティティみたいにする人は睡眠薬の服用をやたらとアピールするものだが、たしかにこれは飲んでみると布団で寄り添って子守唄を歌ってくれるお母さんみたいなもので、何らかの理由で母の愛を受けられなかった人や親離れのタイミングを逃した人には麻薬だろう。何でもフロイト的に話すのは今時むしろシャバいしチャラいけど、千葉で産まれて千葉で育った半端な田舎者の自分にはこういう軽薄さがフィットする。

 

(ここまで書いて寝落ち。さらに日を跨ぐ

 

夜は薬に頼らないと眠くならないのに、日中にやたらと眠い日があって、そういう日は大体翌日が異常な低気圧で、今日も夕方から夜までを寝て過ごしていた。夢で、小中の同級生で後にサッカー選手になった男とあった。おれはそいつに不義理をしたこととされたことが一回ずつある。それでチャラになったのかはわからない。そいつも試合前に、おれにした不義理と俺から受けた不義理を思い出したりしたのだろうか。