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この間、濱口竜介の偶然と想像を観て、それがとても好きでした。偶然と想像は3編の短編からなるアンソロジーなんですが、その1つ目の会話劇が本当に、純然たるエロティシズムを体現していて、ベッドシーンが一つもないのにずっとセックスを映しているような、そういった長回しが臆面もなくそこにありました。自我と他我が行為によってドライブされ、意思の所在が不確かになる、すなわち性(=生)とは中動態であり、あらゆる二分律を拒否しているのだというテーゼに現実が徐々に解されていくようなシーンを観ました。

 

Earl Sweatshirtの新譜が恐ろしく良くできていて、ここんところ、出かけるたびにイヤホンから流していました。昨日、電車に乗っている時に、ふとその関連でTyler, the Creatorの去年出たCall Me If 〜を聴いていたら、2曲目の後半の展開がすごすぎて立てなくなるかと思った。おまけに2から3曲目への接続の瞬間も白眉。このアルバムが出た時は結構よく聴いていた気がするけど、この部分にそんなに打ちひしがれた覚えはなかったです。展開がすごいというのは、曲が最後に向かうにつれて興奮を高めていくような素材の配置が完璧に行われているということなんだけど、それはつまり反hiphop的でもあるということで、けどとにかく洗練されている。こうしたオーガズムともいえる快楽は、ひたすら1ループで最後までクールを突き通すような順hiphopにはありえず、自分ではどうしようもないカタルシスの先にあるもののようです。Tylerで果てて、Earlをまた聴く。